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なぜ、傘は何十年たってもあの形なのか?

2026 10/16
2026年10月16日

雨が降ると、傘を差します。
当たり前です。

でも、よく考えてみると、傘ってずいぶん昔から、ほとんど同じ形をしています。
棒があって、骨があって、布が張ってある。真ん中の棒を持って、頭の上に広げる。

自動車は電気で走るようになり、電話は手のひらに収まるコンピューターになりました。
なのに傘は、相変わらず棒と布です。

しかも、風が吹けばひっくり返るし、横殴りの雨では足元が濡れる。
使い終わったら、今度は濡れた傘の置き場所に困ります。

そもそも、雨を防ぐ道具として、あの形が本当に最適なんでしょうか?

傘って、結構不便じゃない?

まず、傘の不便なところを考えてみます。
片手がふさがる。
風に弱い。
足元が濡れる。
人混みでは邪魔になる。
電車に乗るときは、周囲の人に水滴がつかないように気を使う。
お店に入れば傘立てを探し、出るときには自分の傘がどれだったか分からなくなる。

改めて並べてみると、なかなか問題の多い道具です。
特に気になるのが、傘を差しているのに濡れること。
頭や肩は守られていても、靴やズボンは普通に濡れます。

だったら、もっと全身を覆えばいいじゃないか。
そう考えたくなります。

でも、傘を大きくすれば、今度は人とすれ違いにくくなる。
風の影響も受けやすくなるでしょう。
どうやら、単純に大きくすればいいという話でもなさそうです。

そもそも、屋根を持ち歩くという発想。

傘を別の言い方にすると、「持ち運べる屋根」です。
こう考えると、なかなか大胆な発明です。

建物の屋根は、柱や壁で支えています。
それを、一本の棒で支えて持ち歩く。
しかも、使わないときは閉じて細くできる。
折りたたみ傘なら、カバンの中に入ってしまいます。

よく考えると、これは結構すごいことです。
電池もモーターも必要ありません。
ボタンを押したり、手で動かしたりするだけで、瞬時に屋根が現れる。
雨がやんだら、また細い棒に戻る。

あれ? 傘って、実は相当よくできた道具なんじゃないか?

文句を言うつもりで考え始めたのに、少し感心してしまいました。

ほかの方法はないんだろうか。

もちろん、傘以外にも雨を防ぐ方法はあります。

例えば、レインコート。
両手が自由になるし、風が強い日にも使いやすい。
自転車に乗るときや、屋外で作業するときには、傘より便利な場面もあります。
でも、建物に入るたびに脱いだり、濡れたものをしまったりするのが面倒です。
蒸れることもあります。

だったら、帽子と肩を覆う小さな屋根を組み合わせたらどうだろう。
あるいは、リュックに取り付けて、手を使わずに傘を差せる仕組みは?
実際、世の中にはそうした発想の雨具もあります。

ただ、便利そうに見えても、持ち運びや見た目、風への強さなど、別の問題が出てきます。
何より、日常的に使うものは、準備が面倒だと続きません。

雨が降り始めたら、さっと取り出して使える。
傘の強さは、案外そこにあるのかもしれません。

傘そのものを変えなくてもいい?

もう少し違う角度から考えてみます。
そもそも、雨に濡れないためには、必ず自分で屋根を持ち歩く必要があるのでしょうか?

例えば、駅から建物までの通路に屋根があれば、その区間では傘がいりません。
商店街のアーケードもそうです。
雨の日にお店へ入るとき、濡れた傘を置く場所が分かりやすければ、それだけでも快適になります。
電車やバスの中で濡れた傘が邪魔になるなら、収納方法を工夫するという考え方もあります。

つまり、傘の形を変えることだけが解決策ではないわけです。
道具を改良するのか。使う環境を変えるのか。使い方を工夫するのか。
考えてみると、いろいろな方向があります。

もっとも、日本中の歩道に屋根をつけるわけにもいきません。
結局、一人ひとりが傘を持つ方が、ずっと現実的な場面も多いでしょう。

変わらないのには、理由がある。

傘は昔から変わらないように見えますが、実際には少しずつ改良されています。
軽い素材、丈夫な骨、撥水性の高い生地、ワンタッチで開く仕組み。
折りたたみ傘も、ずいぶん使いやすくなりました。
基本的な形は同じでも、その中身は進化しているわけです。

そして、あの形が長く使われているのは、それなりに理由があるのでしょう。
安く作れて、持ち運べて、すぐに使える。
多少濡れるとはいえ、普段の雨なら十分に役立つ。
何より、誰でも使い方を知っています。

新しい道具を考えるとき、つい今までとは違う形を目指したくなります。
でも、長く使われているものには、簡単には置き換えられないよさがあるのかもしれません。

ところで、傘はまだ進化するのか?

そんなわけで、傘の不便さについて考えていたら、いつの間にか傘の優秀さに気づいてしまいました。
もちろん、改善の余地がないわけではありません。
濡れた傘の扱い方や、風への強さ、持ち運びやすさなど、まだ工夫できそうなところはあります。

ただ、まったく新しい形にすることが、必ずしも進化とは限らない。
今の形を残しながら、少しだけ使いやすくする。
あるいは、傘ではなく周囲の環境を変えてみる。
そんな方法もありそうです。

さて、ここまで傘について考えてきましたが、実は私が一番困っていることは、別にあります。
それは、雨がやんだ途端に、傘の存在を忘れてしまうこと。

電車の中、飲食店、訪問先。
いったい今まで何本の傘を置き忘れてきたことか。
傘の形を変えるより、まずは忘れない仕組みを考えた方がいいのかもしれません。

……いや、そもそも忘れなければいいだけなんですけどね。

そもそも庵

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山崎浩司
しかけづくり 代表
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