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作るのが好き。でも、作らなくてもいい。

2026 10/16
2026年10月16日

何か困ったことがあると、つい「自分で作れないかな」と考えてしまいます。

ちょっとした棚、カードを立てる道具、店内で使う案内表示。
市販品でぴったりのものが見つからないと、材料や構造を考え始めます。
ホームセンターや100円ショップで使えそうな部品を探したり、紙を切って試してみたり。
こういう時間が、結構好きです。

でも最近、こんなことも思うようになりました。
「そもそも、作る必要があるんだっけ?」
今日は、ものづくりが好きな人間が、ものを作らない選択について考える話です。

作ることは、楽しい。

ものづくりの面白さは、頭の中にあったものが実際の形になることだと思います。
「こうすれば使いやすいんじゃないか」
「この角度なら、ちゃんと見えるかな」
「もう少し小さくしても大丈夫そうだ」
そんなことを考えながら、材料を切ったり、組み合わせたり。

試作品を作ってみると、思っていたより使いやすいこともあれば、まったくダメなこともあります。
特に面白いのは、失敗して初めて分かること。
紙の上では問題なさそうだったのに、実際に置いてみると倒れやすかったり。
見た目はいいのに、使うときに手が引っかかったり。
やっぱり、頭の中だけでは分からないことがたくさんあります。

そういう発見も含めて、作ることが好きなんだと思います。

でも、すでに売っているかもしれない。

例えば、お店で使う小さなカードスタンドが必要になったとします。
最初は、材料を買って自作する方法を考えます。

どんな形がいいか。どうやって立たせるか。何を使えば安定するか。
ところが、よく探してみると、ちょうどよさそうな商品がすでに売られていたりします。
しかも、きれいに加工されていて、値段も手頃。
こうなると、少し複雑な気持ちです。

せっかく作り方を考えたのに。
でも、冷静に考えれば、完成品があるならそれを使えばいい。
必要なのはカードを立てることであって、カードスタンドを自作することではないのですから。

自分で作れることと、自分で作るべきことは違う。
これは、意外と忘れやすいところです。

既製品を、そのまま使わなくてもいい。

とはいえ、既製品が目的にぴったり合うとは限りません。
サイズが少し違う。角度が合わない。色が気に入らない。

そんなとき、全部を一から作るのではなく、少しだけ手を加えるという方法があります。

例えば、
ブックスタンドを別の用途に使ってみる。
市販のクリップと板を組み合わせて、案内道具にしてみる。
必要な部分だけ作り、ほかは既製品を利用する。
こういう方法は、個人的にかなり好きです。

世の中には、すでに誰かが考えて作った便利な部品がたくさんあります。
それを使わない手はありません。
しかも、自分で一から作るより、品質が安定している場合もあります。

もちろん、組み合わせ方によっては、見た目が悪くなったり、壊れやすくなったりすることもあります。
単にくっつければいいわけではない。
でも、必要なところだけ自分で工夫するというのは、なかなか合理的な方法だと思います。

作るほど、面倒になることもある。

ものづくりには、もうひとつ気をつけたいことがあります。
作った後の話です。

例えば、ちょっとした案内道具を自作したとします。
最初はうまく使えていても、使っているうちに部品が外れるかもしれません。

汚れたらどうするのか。壊れたら直せるのか。別の人でも同じものを作れるのか。
お店で使うものなら、毎日扱う人のことも考える必要があります。

作った本人だけが使い方を知っているようでは、困ってしまいます。

これはデジタルの仕組みでも同じです。
自分で工夫して作った便利な仕組みが、担当者が変わった途端に誰も使えなくなる。
それでは、あまり便利とは言えません。

完成した瞬間より、その後ちゃんと使い続けられるかどうか。
仕事としてものを作るなら、そこまで考えたいところです。

作らない方が、よくなることもある。

さらに考えてみると、そもそも道具を増やさなくてもいい場合があります。

例えば、店内に案内表示が必要だと思ったとき。
新しい看板を作る前に、今あるものの置き場所を変えてみる。
分かりにくい説明を追加する前に、迷う原因になっているものを取り除いてみる。
新しい収納用品を作る前に、置いてあるものを整理してみる。
それだけで目的を果たせるなら、わざわざ何かを作る必要はありません。

作ることが好きな人間にとっては、少し物足りない解決方法です。
でも、使う人にとっては、その方がありがたいかもしれません。

ものが増えれば、置き場所も必要になります。掃除や管理の手間も増えます。
何かを追加するだけでなく、減らすことや、配置を変えることも考える。

そういう意味では、作らないことも、ものづくりの選択肢のひとつなのかもしれません。

そもそも、何のために作るんだっけ。

考えてみれば、ものづくりは目的ではなく、手段です。
もちろん、趣味なら作ること自体が目的でもいい。
むしろ、それが楽しいわけですから。

でも、誰かの困りごとを解決するためなら、話は少し違います。
必要なのは、困っていることが解決すること。
それが市販品で済むなら、それでいい。
ちょっとした改造で済むなら、それでもいい。
何も作らずに解決できるなら、なおさらいい。

もちろん、既製品ではどうにもならないこともあります。
そんなときは、あれこれ考えて、自分で作ればいい。
作る、買う、組み合わせる、あるいは何もしない。
選択肢は、いろいろあった方が面白いと思います。

さて、そんなことを考えながら、今日も机の上には試作品が並んでいます。
使えるかどうか分からない部品や、途中まで作った道具もあります。
本当に必要なのかと聞かれれば、少し怪しいものも。

でも、まあ、これはこれでいいんです。
仕事では作らない選択も大事。でも、趣味なら話は別ですから。

……ということにしておきましょう。

そもそも庵

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山崎浩司
しかけづくり 代表
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