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立派なシステムを入れないという選択。

2026 10/16
2026年10月16日

世の中には、便利なシステムがたくさんあります。
顧客管理、予約管理、在庫管理、売上分析、勤怠管理。
最近ではAIを使って、いろいろな仕事を自動化することもできるようになりました。

すごい時代です。
私も新しいツールを見つけると、つい触ってみたくなります。

ただ、いろいろな事業者の方と仕事をしていると、時々こんなことを思います。
「これ、そこまで立派なシステムが必要なんだろうか?」
今日は、システムを導入しないという選択について考えてみます。

便利な機能が、多すぎる。

例えば、顧客管理システム。

お客さんの基本情報はもちろん、購入履歴、問い合わせ履歴、営業活動、メール配信、売上予測など、実にさまざまな機能が備わっています。
大勢のスタッフで情報を共有したり、たくさんのお客さんに対応したりする会社なら、とても便利でしょう。

でも、従業員が数人のお店だったらどうでしょう。
欲しいのは、お客さんの名前と連絡先、前回いつ来店したか、それからちょっとしたメモだけ。
そんな場合でも、本格的な顧客管理システムが必要なのでしょうか?

もちろん、将来の事業拡大を考えて、早いうちから仕組みを整えるのもひとつの方法です。
ただ、システムに機能が10個あっても、実際に使うのは2個だけ、ということもありそうです。

だったら、最初はその2個だけでいいのでは?
そんなふうに考えてしまいます。

導入することと、使い続けることは違う。

システムを選ぶとき、どうしても機能や価格に目が向きます。
でも、実際に使い始めると、別の問題が出てきます。

最初の設定は誰がするのか。
毎日の入力は誰が担当するのか。
担当者が休んだらどうするのか。
操作方法を忘れたら、誰に聞けばいいのか。
月額料金だけでなく、こうした手間も考える必要があります。

特に小さな会社やお店では、一人がいくつもの仕事を兼ねていることも珍しくありません。
忙しいときに入力が後回しになり、気づけばデータが古くなっている。
せっかく導入したのに、誰も使わなくなってしまう。
それでは、どんなに高機能でも意味がありません。

システムの価値は、導入した瞬間ではなく、使い続ける中で生まれるもの。
当たり前のことですが、つい忘れがちな気がします。

必要な機能だけ、取り出してみる。

では、本格的なシステムを使わないなら、どうすればいいのでしょう?
例えば、顧客情報を整理したいだけなら、年賀状アプリやスプレッドシートでもできることがあります。
予約の重複を防ぎたいなら、共有カレンダーで十分な場合もあるでしょう。

お客さんに何かを案内したいなら、タブレット端末を置かなくても、紙のカードや小さな看板で目的を果たせるかもしれません。

私自身、こういう方法を考えるのが好きです。
既存の仕組みから必要な機能だけを取り出したり、別の道具で代用したり。
大きなシステムを、いったん小さな部品に分解して考えるような感覚です。

もちろん、何でも簡易的な方法で済むわけではありません。
個人情報の管理やセキュリティ、複数人での同時作業など、
本格的なシステムだからこそ安心して使える場面もあります。

安易に置き換えると、かえって危険だったり、手間が増えたりすることもあるでしょう。
だからこそ、単純に「安い方法を探す」という話ではないんです。

紙の方が便利なこともある。

以前から、デジタルサイネージのような情報を表示する仕組みにも関心があり、
いろいろ考えたり試したりしてきました。

画面を使えば、情報を切り替えたり、動画を流したりできます。
内容を頻繁に更新するなら、紙より便利な場合もあります。

でも、伝える情報がほとんど変わらないなら?
例えば、お店のWi-Fiの案内や、ちょっとした利用方法の説明。
わざわざ電源を用意して、端末を設置して、画面を管理する必要があるのでしょうか。
きれいに作った一枚のカードで十分かもしれません。
逆に、紙を何十枚も貼り替える必要があるなら、デジタルの方がずっと楽でしょう。

つまり、紙かデジタルかという問題ではない。
その場所で、何を、誰に、どう伝えたいのか。
そこから考えればいいんだと思います。

立派じゃなくても、ちゃんと役に立つ。

こういう話をすると、「簡単なもの」「安いもの」をすすめているように聞こえるかもしれません。
でも、必ずしもそうではありません。

小さく作った仕組みでも、毎日の入力に30分かかるなら困ります。
最初の費用が安くても、頻繁に壊れるなら意味がありません。
見た目が安っぽくなって、お店の雰囲気を損なうのも避けたいところです。

必要なところには、ちゃんとお金をかける。
一方で、必要のないところまで立派にする必要はない。
その見極めが大切なんだと思います。

場合によっては、何も導入せず、今の仕事の手順を少し変えるだけで済むことだってあるでしょう。
新しい仕組みを考える前に、そもそも、その作業が必要なのかを考えてみる。

そんな順番もありそうです。

で、結局どれを使えばいいの?

ここまで書いてきましたが、本格的なシステムを否定したいわけではありません。
むしろ、便利なものは積極的に使いたいと思っています。
大事なのは、システムの大きさや機能の多さではなく、
自分たちの仕事に合っているかどうか。
今の人数で使えるか。
無理なく続けられるか。
本当に困っていることを解決できるか。
そこを確かめてから選んでも、遅くはないと思います。

もっとも、そんなことを言っている私自身、新しいアプリやサービスを見つけると、
面白そうでつい試してしまいます。
無料プランを登録して、設定をいじって、いろいろ試して。

そして、ふと思うわけです。
「あれ、そもそも何をしたかったんだっけ?」
システムを使う前に、自分の好奇心を管理する仕組みが必要なのかもしれません。

そもそも庵

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山崎浩司
しかけづくり 代表
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