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自分の長所を、自分で書くという無理難題。

2026 10/16
2026年10月16日

「あなたの長所を教えてください」
就職活動のエントリーシートや面接で、よく聞かれる質問です。

自分のことなんだから、自分が一番よく知っているはず。
ところが、いざ答えようとすると、これがなかなか難しい。

「真面目なところです」
「コミュニケーション能力があります」
「最後まで諦めずに取り組めます」
うーん。何だか、どこかで聞いたような言葉ばかり。

そもそも、自分の長所を自分で説明するって、結構な無理難題ではないでしょうか?

自分にとっての普通は、長所に見えない。

例えば、誰かに何かを説明するとき、相手が理解できているかを確認しながら話す人がいるとします。
本人にしてみれば、ごく普通のこと。
特に意識しているわけでもないし、特別な能力だとも思っていません。
でも、周囲の人からすれば「説明が分かりやすい人」かもしれません。

反対に、自分では「行動力がある」と思っていても、
周囲からは「ちょっとせっかちな人」と見られている可能性もあります。
どちらが正しいという話ではありません。
見る角度によって、同じ特徴が違って見えるということです。

考えてみると、自分の顔だって、鏡や写真を使わなければ直接見ることはできません。
なのに、自分の性格や能力については、自分で正確に説明することを求められる。
なかなか不思議な話です。

長所は、名前をつけると急につまらなくなる。

就職活動の自己PRでは、長所を短い言葉にまとめることがあります。
「協調性」「主体性」「責任感」「柔軟性」。
もちろん、どれも大切なことです。

でも、その言葉だけでは、どんな人なのかよく分かりません。

例えば、同じ「協調性がある人」でも、
意見の違う人たちの間に入って話をまとめる人もいれば、
困っている人にさりげなく手を貸す人もいます。
周囲の意見をよく聞く人もいるでしょう。
それぞれ、かなり違う能力です。

にもかかわらず、ひとつの単語にまとめると、みんな同じように見えてしまう。
長所を分かりやすく伝えようとして、その人らしさを削ってしまっている。
そんなことも起きているのかもしれません。

自分のことを、人に聞いてみる。

だったら、長所を自分だけで考えるのをやめてみたらどうでしょう?
例えば、友人や同僚に聞いてみる。
「私って、どんなことが得意そう?」
「一緒に仕事をしていて、助かったことってある?」
「私らしいなと思った出来事は?」

「長所を教えてください」と聞くより、
具体的な経験を尋ねた方が答えやすいかもしれません。
そして、返ってきた答えを集めてみる。

自分では当たり前だと思っていたことが、意外と評価されていたりする。
逆に、自分が頑張ってアピールしていた部分には、あまり反応がなかったり。
ちょっと怖い気もしますが、面白そうです。

もちろん、他人の評価がすべてではありません。
相手との関係によって見えている部分も違いますし、親しい人だからこそ気づかないこともあるでしょう。
でも、自分だけで考えるより、見えるものは増えそうです。

自己PRを、自分で書かなくてもいいのでは?

ここで、もうひとつ考えてみます。
そもそも、自己PRは本人が一人で書かなければならないのでしょうか?

例えば、誰かにインタビューしてもらう。
これまでの経験や、好きなこと、苦手なこと、普段どんなふうに物事を考えているのか。

いろいろ質問してもらいながら、話をする。
すると、自分では思いつかなかったエピソードが出てくるかもしれません。

聞き手が「それ、結構すごいことじゃないですか?」と言っても、
本人は「え、普通じゃないですか?」なんて答える。

実は、そういうところに、その人らしさが隠れている気がします。

企業のプロフィールや商品紹介を考えるときにも、似たようなことがあります。
本人にとっては当たり前の仕事が、外から見ると大きな魅力だったりする。
だったら、就職活動でも事業の紹介でも、自分の魅力を見つけるところから、誰かと一緒にやってみる。
そんな方法があってもよさそうです。

ただし、選考の場で求められる本人の考えや経験まで、誰かに作ってもらうのは違います。大切なのは、うまい文章を代わりに書いてもらうことではなく、自分でも気づかなかったことを発見することなのでしょう。

短所も、見方を変えれば長所になる?

よく「短所は長所の裏返し」と言います。
心配性は慎重。
頑固は意志が強い。
優柔不断は柔軟。
まあ、何でも言い換えればいいという話でもないでしょう。

実際に困っている短所を、無理やり長所に変換しても仕方ありません。
ただ、同じ特徴でも、置かれた環境によって役に立つこともあれば、そうでないこともあります。

細かいことが気になる人は、大雑把に進めたい場面では面倒がられるかもしれません。
でも、品質確認の仕事では、その細かさが頼りになることもあるでしょう。

つまり、長所というのは、その人の中に単独で存在するものではなく、
どんな場面で、どう役に立つかによって見えてくるものなのかもしれません。

そもそも、自分を一言で説明できるのか。

考えてみれば、人間はそんなに単純ではありません。
仕事では几帳面なのに、家では片づけが苦手だったり。
初対面ではおとなしいのに、好きな話になると急にしゃべり始めたり。
そんな人もいるでしょう。

自分の特徴を、たったひとつの言葉にまとめる必要はないのかもしれません。

就職活動でも、仕事のプロフィールでも、大切なのは立派な長所を並べることより、
その人がどんな場面で何を考え、どう行動してきたのかを伝えること。
そこから読み取れる魅力もあるはずです。

さて、ここまで自分の長所について考えてきましたが、
私自身の長所は何なのでしょう?

「いろいろな角度から物事を考えるところ」でしょうか?
それとも「ひとつのことにこだわらないところ」?
……いや、単に話があちこちに飛ぶだけかもしれません。

やっぱり、自分で考えるのは難しいものです。

そもそも庵

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山崎浩司
しかけづくり 代表
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